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葬送のフリーレン、布教失敗記。子どもたちに「ファンタジーの壁」が立ちはだかった日

アニメ
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最近、皆さんは何か熱中しているアニメはありますか?私にとって心を鷲掴みにされた作品といえば、間違いなく『葬送のフリーレン』です。

あの静謐で、どこか切なくて、それでいて温かい物語。1000年を生きるエルフの魔法使い・フリーレンが、かつて共に世界を救った勇者ヒンメルの死をきっかけに「人を知る」旅に出るというテーマに、すっかりやられてしまいました。美しい作画、心に響くBGM、そして何より、時間の流れという普遍的なテーマを扱ったストーリーテリングが秀逸ですよね。

私は一視聴者として第2期の放送を心待ちにしていましたが、アニメの第2期が始まるまでには、ぜひ子どもたちにも物語の予習をさせておきたい!という強い思いが湧きました。娘は小学5年生、息子は中学1年生。そろそろ深みのある物語も楽しめるだろうという期待も込めて、電子書籍ではなくあえて紙の原作漫画を購入しました。

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「さあ、読め!」と差し出したら…

意気揚々と、夕食後のリビングで、息子と娘に漫画を差し出しました。「これ、今めちゃくちゃ面白いアニメの原作なんだ!2期が始まる前に読んでおけば、もっと楽しめるぞ!」と、前のめりに。子どもたちも、新しい漫画への期待から、すぐに読み始めてくれました。

最初はニヤニヤしながら、読んでいる様子を遠目から眺めていた私。しかし、数十分後、期待とは真逆の言葉が飛んできました。

中1息子
中1息子

なんかこれ、ちょっと地味じゃない?

小5娘
小5娘

うん、なんか、戦ってるシーンも少なくて、よくわかんない…

雪坊主
雪坊主

がーん・・・

私の心の中には、勇者ヒンメルの銅像が雷に打たれて崩壊するような音が響きました。

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「ファンタジーの基礎」という名の壁

なぜだ!?あれだけ素晴らしい物語なのに、なぜ子どもたちの心には響かないのか?

よくよく話を聞いてみると、その原因は至極シンプル、そして、私の想定外のところにありました。

それは、彼らにとっての「ファンタジー物語の素養の欠如」です。

私たち大人が『フリーレン』の世界観をスムーズに受け入れられるのは、これまでに『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』、あるいは様々なRPGやファンタジー作品に触れ、無意識のうちに共通認識を持っているからです。

例えば、子どもたちから出てきた質問は、私たちの世代にとっては「聞くまでもない常識」ばかりでした。

  • 種族の違い(エルフ、ドワーフ、人間)
    • 娘:「なんでこの人(フリーレン)、こんなに長く生きてるの?」→「エルフっていう種族で、長寿なんだよ」
    • 息子:「ふーん。で、なんで長生きだとわかるの?単なる設定?」→「…そういう、ファンタジーの世界の基本的な設定なんだ!」
  • 職業と役割(勇者、魔法使い、戦士、僧侶)
    • 娘:「勇者って何をする人なの?魔王を倒したんでしょ?なんで今は普通の服着て旅してるの?」→旅の目的の変容が理解できない。
    • 息子:「魔法使いとか僧侶って、今の世界だとどんな仕事なの?なんで戦闘メンバーにいるの?」→職業と能力の関係が現実と結びつかない。
  • 世界観と魔力
    • 「魔力ってどこから出てくるの?」
    • 「なんで平和なのに、まだ魔物とかがいるの?」

「勇者とは、世界を救う者」「魔法使いは、魔法を使う職種」「エルフは長命な種族」—。私たちにとっては当たり前の「常識」が、彼らにとっては全てが「初めて聞く設定」なのです。

物語を楽しむ前に、いちいち立ち止まって「これは何?」「なんでこうなるの?」という疑問の解消にエネルギーを使ってしまい、肝心のフリーレンの感情の機微や、ヒンメルとの思い出といった物語の核までたどり着けていなかったのです。

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親子間の「教養」のズレを痛感

「あ、そうか。子どもたちはまだ、ファンタジー世界の共通言語を持っていないんだ…」と、目から鱗が落ちる思いでした。

物語の本質的な面白さは、「共通認識」の上に成り立つ「独自性」によって際立ちます。『フリーレン』の魅力は、王道ファンタジーという土台があるからこそ、その旅路の「後日譚」を描くという視点が斬新に映えるのです。

子どもたちには、まずその土台を教える必要があったのですね。

結局、漫画は一旦棚に戻されることになりました。無理に読ませて「つまらない」というネガティブな印象だけが残ってしまい、2期が始まったときに観てくれなくなるのは本末転倒ですから。

次なる布教への誓い

しかし、諦めてはいません!

まずは、彼らが親しみやすい、よりシンプルな構造の王道ファンタジー(例えば、魔王を倒すことに特化したような、分かりやすい冒険もの)から入門させようと、心に誓いました。あるいは、アニメの続きが放送されれば、映像と音の力で世界観を理解してくれるかもしれません。

この一件で、親と子とでは、たとえ同じ時代に生きていても、触れてきた文化や作品による「教養」に大きなズレがあるのだということを痛感しました。

皆さんは、お子さんや、普段ファンタジーに触れない方に『フリーレン』の魅力を伝えるとき、どんな工夫をされていますか?もし良い入門法があれば、ぜひ教えてください!

いつか子どもたちと、ヒンメルのあの言葉の真意について語り合える日を夢見て、私の父親としての布教活動は続くのでした。



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